【翻訳】Web3ってなんだろう?事例でわかりやすく解説!(Bernard Marr, Forbes, 2022)

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まず、あるところに、私たちがよく知るインターネットであるWeb1がありました。そして、ソーシャルメディアの登場によってもたらされたユーザー生成型ウェブであるWeb2がありました。そして今、どこを見ても、人々はWeb3(またはWeb3.0)― インターネットが次に大きく進化すると言われている ―について話しています。しかし、それはいったい何なのでしょうか?

これについては、意見が分かれるところです。というのも、Web3は現在進行中であり、まだ正確に定義されていないからです。しかし、主な原則は、現在のインターネットのように政府や企業によってコントロールされるのではなく、分散化され、ある程度は "メタバース "の概念につながるということです。

始める前に、混乱を避けるために言っておきますが、数年前まで「Web3.0」という言葉は、現在「セマンティック・ウェブ」として知られているものを説明するのに頻繁に使われていました。これは、元祖「インターネットの父」であるティム・バーナーズ=リー卿が提唱した、マシン・トゥ・マシンのインターネットを目指すコンセプトです。言語はその使い方によって定義されるものであり、今ではこの言葉は別のものを表現するために使われることの方が多いといえます。しかし、バーナーズ=リーのコンセプトは、全体ではないものの、現在我々がWeb3と呼ぶものの一部であると考えられています。

分散型ウェブってなに?

まず、分散化について見てみましょう。今日、私たちがオンラインで時間を過ごす人気のサイトやたまり場が持つインフラはすべて、通常は企業が所有し、ある程度は政府が定めた規制によってコントロールされています。これは、ネットワークインフラを構築する最もシンプルな方法だったからです。誰かがお金を払ってサーバーを設置し、そこに人々がオンラインでアクセスしたいソフトウェアをセットアップし、そのルールを守る限り、私たちに利用料を請求するか無料で使わせてくれるのです。

そして今日、私たちには他の選択肢があります。ここで出てくるのが、ブロックチェーン技術です。ブロックチェーンは、データをオンラインで保存する比較的新しい手法で、暗号化と分散コンピューティングという2つの中核的な概念を軸に構築されています。

まず、暗号化とは、ブロックチェーンに保存されたデータには、許可を得た人しかアクセスできない、ということを意味しています。たとえそのデータが、政府や企業など、他の誰かが所有するコンピューターにたまたま保存されていたとしてもです。

また、分散コンピューティングとは、ファイルが多くのコンピュータやサーバーで共有されることを意味します。もし、ある特定のコピーが他のすべてのコピーと一致しない場合、そのファイルのデータは有効ではありません。これは、データを管理している人以外の誰も、そのデータの所有者または分散ネットワーク全体の許可なしに、そのデータにアクセスしたり変更したりできないことを意味し、もう一つの保護レイヤーを追加するものです。

つまり、企業や自治体が所有するサーバーに保存されているデータであっても、その所有者のみがコントロールできるような形で保存することができるのです。所有者や政府は、データの所有者であることを証明する暗号化キーがなければ、データにアクセスしたり、変更したりすることはできません。また、たとえサーバーをシャットダウンしたり撤去したりしても、データは何百台ものコンピューターのいずれかに保存されているため、アクセスは可能です。なかなかうまくできているでしょう?

Web3の技術的なインフラに関連してよく使われる他の重要なコンセプトは、オープンであること、つまり大部分がオープンソースのソフトウェアで構築されていること、トラストレス、パーミッションレスであることです。

トラストレスとは、信頼できる第三者を必要とせずに、二者間で相互作用や取引が行えるという意味です。これは、Web2以下では必ずしもそうではありませんでした。なぜなら、交流や取引に使用する媒体の所有者が、あなたのコミュニケーションを操作していないことを確認しなければならなかったからです。

Web3のトラストレス取引の良い例は、ビットコインをオンライン取引所や中央サーバーに保管されたウォレットを経由せず、直接他の人に送られることです。取引を行うプロセス全体がブロックチェーンアルゴリズムと暗号化によって制御されており、誰かが介入してそれを妨害できる可能性は限りなくゼロに近いのです。

同様に、「パーミッションレス」とは、取引や相互作用のいずれの当事者も、それが行われる前に第三者(サービス提供者や政府など)に許可を求める必要がないことを意味します。

ところで、政府の干渉を避けるという話が、少し無政府主義的あるいは自由主義的に聞こえるのは、あなただけではありません。このような監督や管理の欠如が安全性や合法性に及ぼす影響については、まだ大きな疑問が残っています。私たちはすでに、政府がウェブ上のコミュニケーションやインタラクションをある程度コントロールできるような法律を作ろうとしているのを目にしています。 これには、イギリス政府が市民のエンドツーエンド暗号メッセージの送信能力を規制したいと示唆したことが含まれています。

DAOってなに?

Decentralised Autonomous Organisation (DAO)=分散型自律組織 は、ブロックチェーンにコード化された規則や規制によって拘束されるグループ、企業、団体を表すWeb3の概念です。例えば、DAOベースのお店では、すべての商品の価格と、ビジネスから支払いを受ける人の詳細がブロックチェーンに保持されます。DAOの株主は、価格を変更したり、誰がお金を得るかについて投票することができます。

しかし、個人が許可なくルールを変更することはできません。また、サーバーの所有者や利益を保管する施設の所有者など、物理的なインフラを所有する者も、収益を持ち逃げするなど、何らかの形で干渉することはできないのです。

重要なのは、DAOは、理論的には、銀行家、弁護士、会計士、地主など、組織を運営するために必要な多くの「仲介者」を完全に不要にするということです。

人工知能(AI)も関係ある?

Web3では、AIが大きな役割を果たすと考えられています。 これは、多くのWeb3アプリケーションの実行に必要となる、機械同士のコミュニケーションや意思決定が大きく関わってくるためです。

メタバースもWeb3なの?

そうですね。Web3の重要なコンセプトとして最後に取り上げるのがメタバースです。Web3に関連して、「メタバース」という用語は、インターネットのフロントエンドの次のイテレーション、つまり、私たちがオンラインの世界と対話し、他のユーザーとコミュニケーションし、データを操作するためのユーザーインターフェイスをカバーします。

メタバースのアイデアは、私たちがよく知っているインターネットを、より没入感があり、社会的で持続性のあるものにするというものです。VR(バーチャルリアリティ:仮想現実)AR(オーグメンテッドリアリティ:拡張現実)といった技術を使って私たちを引き込み、より自然で没入感のある方法でデジタル領域と対話できるようにしてくれるのです。例えば、バーチャルハンドを使って物を拾ったり操作したり、声を使って機械に指示を出したり、他の人と話したりすることができるようになります。メタバースは、人間がWeb3のツールやアプリケーションに関わるためのインターフェースと考えることができます。

ビットコインはその一例ですが、メタバースが関与しないWeb3アプリケーションを作ることも可能です。しかし、メタバースの技術や体験は、これらのアプリケーションの多くが私たちの生活と相互作用する方法において大きな役割を果たすと考えられています。

これは全部良い感じに聞こえるし、きっと誰もが愛するはずでしょう?

でも実際のところ、そうとも言い切れないのです。たとえば、イーロン・マスクは、「今は現実というよりマーケティングの流行語のように思える」だとか、「誰かWeb3を見たことがあるかい?どこにも見つからないんだけど」なんて言ったりもしています。

一方、Twitterの元CEO、Jack Dorsey氏は、多くの人が期待するほど自由でオープンなものになるかどうか疑問視しています。彼は、「Web3はあなたの所有物ではなく、VCとそのLPの所有物です。彼らのインセンティブから逃れることはできません。それは結局、別のラベルを貼った中央集権的な存在なのです」と述べています。

また、ブロックチェーン上に構築されているため、時に非常にエネルギーを消費し、二酸化炭素の排出や気候変動を強める可能性があることから、現在のWeb3の提案の多くを好まない人もいます。例えば、ビットコインブロックチェーンは、フィンランドが用いるのと同程度のエネルギーを消費すると推定されています。他のブロックチェーン、例えばプルーフ・オブ・ワークではなくプルーフ・オブ・ステーク・アルゴリズムで構築されているものは、それほどエネルギーを消費しません。

Web 3.0アプリケーションの例

それでは、Web3.0の実用例をいくつか見てみましょう。