メンタルモデルとは
メンタルモデルは人が無自覚にもっている思い込みや価値観のことです。
例えばホームページを見ている際、トップページに戻りたいと思ったとき、皆さんならどうしますか? 自然とサイト左上にある、ロゴマークを押したりしますよね。そして、大抵の場合、思い通りにトップページに戻ることができます。
ロゴマークには「トップページ」という見出しがついている訳ではありません。しかし、人は無自覚にこの操作が出来てしまい、また行なってしまいます。これはユーザーが 「サイト左上のロゴを押すと、トップページに戻れるだろうな」 という思い込み、つまりメンタルモデルを持っているためです。
実装者・UI設計者・ユーザーの思考モデル
ウェブサイトやアプリを利用していて、ユーザーが「使いにくい」「間違える」などの状況に陥る原因は、設計側と、ユーザーとの知識や期待、思考などにギャップがあるためです。 設計側はその製品を知る必要があり、知識が増えれば増えるほどメンタルモデルは素晴らしくなるけれど、ユーザー視点から遠ざかっていく… よく聞く話ですよね(汗
アラン・クーパーは、その著書『About Face 3-インタラクションデザインの極意』の中で、以下の3つのモデルについて解説しています。
実装モデル エンジニアによって実装されたプログラムが、実際に動作する仕組み
表現モデル プログラムの動きをユーザーに対して表現するために選ばれた方法(≒UI)
脳内モデル ユーザーがプログラムについて、単純化して認識している内容
トップダウン処理とボトムアップ処理
一度インターネット上でのメンタルモデルが築かれると、日常のブラウジングでは、私たちの脳は自然と「トップダウン処理」を行います。
トップダウン処理とは、「私たちが、すでにもっている知識や、その時々に頭に思い浮かんだ考え(期待や仮説)を先行させて、見ているもの・聞いている音・読んでいる文を理解する方式のこと」です。
(中略)
私たちはこのように今までのメンタルモデルに則さない構成の新しいWEBサイトなどでインターネット体験をすると、「ボトムアップ処理」に脳が切り替わります。
ボトムアップ処理とは、「見ているもの・聞いている音・読んでいる文について、それぞれを構成する要素を分析し、分析された特徴から認識を成立させる方式のこと」です。
人間を理解するとき、血液型や容姿にとらわれることなく、相手の言動に注意を傾け、ある程度の時間をかけてその人となりを理解することがボトムアップ処理だといえます。
このボトムアップ処理は、それぞれの構成する要素を一つ一つ見ていくため、トップダウン処理と比べて認知に時間がかかります。「このボタンは何を表しているのか」「どういう使い方をすればいいのか」を一つ一つ認識していくからです。
メンタルモデルとデザインの関係性
デザインとユーザーのメンタルモデルが噛み合わないときの手っ取り早い対処法は、デザインをユーザーのモデルに合うように変えることです。大多数の場合、これが取るべき最善のアクションです。あなたはユーザーのモデルの慣性と戦う必要がなく、ユーザーもあなたに感謝するでしょう。
デザインをモデルに合うように変えることができないならば、ユーザーのメンタルモデルが新しいモデルに歩み寄るのを助けるために追加のステップを踏む必要があります。これはつまりユーザーの心に新しいモデルが根付きやすいように、インストラクションやラベル、チュートリアル、あるいは視覚的なきっかけを提供するということです。
(中略)
自分(引用者注:UI設計者)の中にあるメンタルモデルを信用せずに、ユーザーのメンタルモデルを知ることで、UIを通して彼らのモデルを再現することができ、ユーザーにとって直感的で受け入れやすい体験を作り出すことができます。
ユーザーメンタルモデルの抽出①:メンタルモデル・ダイアグラム
ユーザーメンタルモデルの抽出②:カードソーティング
ユーザーのメンタルモデルに最も一致する分類体系を見つけ出す基本的な方法の1つがカードソーティングである。
定義:カードソーティングとは、調査参加者が、自分が理解できる基準に従って、ノートカード(メモカード)に書かれたそれぞれのラベルを分類するというUX調査手法である。この手法によって、ターゲットオーディエンスの該当分野に対する知識がどのような構成になっているかが明らかになり、ユーザーの期待に合う情報アーキテクチャを作成する役に立つ。