【翻訳】親愛なる友よ、君はスティーブ・ジョブズではない(Nick Petri, business2communitv, 2012)

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さらに、あなたの会社はAppleではない―あなたがアップルに勤めていない限り。しかしそうだったとしても、あなたはまだスティーブ・ジョブズではない。

スティーブ・ジョブズが成功したのは、彼のとてつもない才能と、それと同量の傲慢さが一致したからだ。才能と傲慢さは、とてもいい組み合わせだ。特にUXに関しては、彼は自分のアイデアが他の誰よりも優れていると確信していたし、実際その通りだった。

問題は、傲慢な人は、その傲慢さの結果、常に自分がスティーブ・ジョブズと同じくらい才能があると思っていて、しかもいつも間違っていることだ。そして、いつもといえば...そう、いつもなのだ。アップルは世界最大の企業であり、他の多くの企業よりもはるかに若い企業だ。ジョブズは史上最高のテクノロジーCEOだったと言うのが妥当だと思う。

しかし、だからといって経営者が彼になろうとするのを止めることはできない。通常、これは彼の傲慢さを真似ることを意味するが、彼の才能の4分の1もなければ難しいことではない。その結果、次のような特徴を併せ持つ経営者が生まれる。

  • あらゆる証拠が反対を示している場合でも、妥協する気がない。
  • 従業員や同僚とうまくいかない。頻繁に間違いを犯し、それを決して認めない人と一緒に働くのは楽しいことではないだろう。
  • 正直な批評家よりもイエスマンを好む。
  • ユーザーのことを、ユーザーが自分たちのことを知るよりも、自分たちの方がよく知っていると思っている。
  • マーケティングよりも自分たちの方が上だと思っている。自分たちのプロダクトはとても優れていて、それ自体がマーケティングになると思っている。
  • 失敗したアイデア固執した結果、最後にはそれを潰して次に進む。

成功する起業家になるためには、健全な反逆者精神を持ち、誰も解決できないような問題を解決できると考える必要がある。しかし、その健全な懐疑心と、多くの人が抱くジョブズの傲慢さの戯画の間には、その戯画が正確かどうかは別として、多くの物的財産が存在するのだ。

ここで良い知らせがある。あなたは確かにスティーブ・ジョブズではないが、それゆえに、次のようなことをしても良いのだ。

  • どんなことでも、最初に考えたことが間違っている可能性がゼロでないことを受け入れる。
  • 自分の意見を尊重してくれる人たちに囲まれ、たまには彼らの意見に耳を傾けてみる。
  • ユーザーや競合がどのように動いているのか、また、そのエコシステムの中で自分はどこにどのように位置づけられるのかを理解するためにリサーチをする。
  • UXの戦いを選択する。ユーザーが特定のワークフローや視覚的な合図に慣れている場合、はるかに優れた方法がない限り、車輪の再発明をしないようにする。
  • 競合他社から学ぶ。競合他社も、時には良いアイデアを持っているはずだ。

私はゴルフが好きだが、タイガー・ウッズではない。自分がそうだと思い込んでいても、上達することはない。タイガー・ウッズになったつもりでいると、とんでもない戦略的決断を下してしまい、スコアが伸び悩むだけだ。

同様に、自分をスティーブ・ジョブズだと思い込んでいる人のほとんどは、その傲慢さを一段も二段も下げることで利益を得ることができるかもしれない。だからといって、大志を抱いてはいけないというわけではない。もっと謙虚な経営スタイルで1,000億ドル規模の会社を作ることは十分可能だし、過去に何度もそういうことはあった。創業者たちの多くは、自分が1,000億ドル規模の会社を作れるとは思っていなかっただろう。しかし、どうだろう。その謙虚さは、彼らがそこに到達するのを止めなかったし、むしろ、責任を適切に委譲し、失敗したアイデアを廃棄することを可能にすることで、そこに到達するのを助けたのだろう。

個人的には、たとえそれが正しい可能性があったとしても、自分が次のスティーブ・ジョブズだと考えている人よりも、自分に対して適度に控えめな評価をしている人の方が、ずっと信頼できる。確かに、次の5,000億ドル規模の企業は、自分が史上最高だと思い、それを裏付ける才能を持った創業者によって作られるかもしれない。しかし、その過程でどれだけのスティーブ・ジョブズ志願者が大失敗するだろうか?