【翻訳】ジェームズ・ギャレットのUX5階層モデル(Konstantin Smirnov)

ユーザーエクスペリエンス(通称UX)とは、プロダクトを使用する際に生じる行動、認識、感情、そして感覚全体を指します。ご想像のとおり、UXには非常に多くの要素が含まれており、中にはプロダクトと直接関係しないように思える要素さえあります。これらすべては、プロダクト開発を始める前の段階で最優先で考慮しなければなりません。
見た目は美しいのに、顧客の問題を解決できないため使い物にならないアプリケーションを見たことはありませんか?その逆で、外見が洗練されていないのに重要な作業をこなせるため人気を博しているアプリケーションを見たことはないでしょうか?今日の企業が成功し、他社と競争していくためには、見た目もよく、かつ使い心地の良いプロダクトを提供する必要があります。本記事では、すべての重要な領域を忘れずにデジタルプロダクトに取り組む方法を解説し、顧客が満足できるソリューションを提供する道筋を示します。
ジェームズ・ギャレットは、著書『The Elements of User Experience』の中でUXデザインを5つのレベルで構造化しています。彼の考えによれば、各レベルは全体のプロセスをできる限りスムーズにするために解決すべき主要なタスクを表しています。この5段階方式は、技術的側面ではなくユーザー体験に重きを置いており、顧客が本当に必要としているものを理解し、提供する助けとなります。
UXの5つの要素とは何か

プロダクトのデザインプロセスは、最も抽象的なレベルから始まり、上に進むにつれて情報の詳細や明確さが増していきます。各レベルは密接に連携しており、上位レベルでの変更は下位レベルの決定に影響を与えます。この設計戦略に基づけば、もし要件の定義を誤れば、誰にも使われないプロダクトになる可能性が高まります。情報アーキテクチャにミスがあれば、将来的な開発にも影響を及ぼし、修正には追加コストが発生するでしょう。
第1層:ストラテジー

このレベルは、最も抽象的なものであり、以降のすべての作業の基礎となります。ストラテジーレベルでは、顧客やビジネスユーザーがプロダクトに対して抱く期待など、非常に重要な情報を収集します。
検討すべき質問
- このプロダクトは何か?何のために、どのように使われるのか?
- 誰が使うのか?顧客は誰か?
- 顧客のどんな悩みを解決するのか?
- 競合プロダクトと比べて、なぜこのプロダクトが優れているのか?
- このプロダクトは、自社のプロダクト戦略にどのように合致するのか?
第2層:スコープ

ストラテジーに基づいて、プロダクトの機能を定義します。ここでは何を実装し、何をしないかを明確に決めることが重要です。コンテンツ要件もこの段階で定められます。
検討すべき質問
- どの機能が顧客の目標達成に貢献するのか?
- 最小限の機能でまずリリースできる構成は何か?追加機能は何か?
- 競合プロダクトはどのように同様の課題を解決しているのか?
- 顧客はどのようなコンテンツを必要としているのか?
第3層:ストラクチャー

この層では、情報アーキテクチャとインタラクションデザインを設計します。
情報アーキテクチャとは何か
情報やデータを正しく構成し、ユーザーが求めるものに迅速にアクセスできる構造を作ります。将来の拡張も見据えた設計が必要です。
インタラクションデザインとは何か
ユーザーがシステムとどう関わるか、システムがどのように反応するかを定義します。操作は直感的であり、できれば説明書なしで使えることが望まれます。
検討すべき質問
- 顧客は効率よく目的を達成できるか?
- ナビゲーションは期待に沿って理解しやすいか?
- 将来のスケーラビリティに対応できる構造か?
第4層:スケルトン

ここではプロダクトの機能に基づいてビジュアル面の設計を行います。情報の提示方法が顧客の目的に合っているかが重要です。
スケルトン設計の3要素
- インターフェースデザイン:視覚要素の配置と操作性
- ナビゲーションデザイン:移動構造の設計
- 情報デザイン:情報の伝達効率を最大化するための構成
検討すべき質問
- プロトタイプは目的達成に貢献するか?
- 補足なしで使用できるか?
- ナビゲーションは迅速に目的ページに誘導できるか?
- 改善すべき要素は残っていないか?
- 保守性と拡張性はあるか?
- コンテンツの提示は明確か?
第5層:サーフェス

最上層では、UI要素や全体のビジュアルが完成されます。フォント、配色、レイアウトなど、ブランドイメージを反映する外観を整えます。
検討すべき質問
- プロダクトは顧客の課題を解決できているか?
- 第1層の戦略で設定した目標を達成しているか?
- すべての機能要件を満たしているか?
- 顧客が繰り返し使いたくなる魅力があるか?
まとめ
プロダクト設計においてUXの各レベルは、顧客にとって有益なソリューションを生み出すために存在します。あらゆるデジタルツールの設計時においてUXを考慮することは不可欠であり、競合が多い中で成功するのは、より良いUXを提供し、顧客の問題をより効果的に解決できる企業です。
この5段階手法はUX設計を段階的に分解し、基礎から詳細へと進めるプロセスを可能にします。この方法により、顧客とビジネスの双方の要件を満たす堅実なプロダクトが構築できます。